孤独にならないで

看護師として急性期病院で働いていた頃、日々業務に追われ、さらには委員会や係の仕事、勉強会‥‥。休日も返上しなければならない風習のある環境の中で、がむしゃらに働いていた。

先輩看護師からはダメ出しをされ、唯一心を開けるのは同期の看護師仲間。それでも、同期は皆んな余裕がないため、慰め合うしかない。

自分なりに仕事を回せるようになり、余裕が生まれた頃、自分のしている看護や現在の日本の医療に疑問をもつようになった。認知症で寝たきりの高齢者に人工呼吸器を装着したり、経口摂取ができず最期が近い患者さんへ点滴を積極的に行い全身が浮腫んでしまう等の延命治療‥‥。

果たしてこの患者さんはこの状態を望んだのか、家族は自分達で決められないから医療者に頼り切りになっているのではないか、その治療・看護ケアに自分も関わっていると思うと、もどかしい気持ちになっていた。

そんな思いがどんどん大きくなり、辛くなり4年勤めた病棟を離れた。

あれから10年程経ち、今の自分が、あの頃の自分と働いていたら、仕事に追われる中でも話を聞いてあげられていたら何か変わっていたかと思う。同期ももちろん大切だが、何より経験値の高い先輩看護師との信頼関係が築けていて、日頃から相談できる環境であれば、不安や疑問が解決できなくても何か違う形になっていたのではと思う。

当時いじめられていた訳でもなく、孤立していた訳でもないが、少なくとも孤独に考えることは大きくあったと思う。きっと、人は仕事だけでなくプライベートでの問題も含めて、何かしら孤独を抱えながら生きているものだとも思う。

だからこそ、心を閉ざさず、自分から話してみる、相談してみる姿勢は大切だと思う。打ち明けてみたら、意外にも自分と同じ考えや新たな見方ができる発見もあるかもしれない。

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